Windows 7 のカスタムインストールディスクを作成してみました

概要

前回は、Windows をネットワークストレージ経由でインストールしました。 この方法で、複数台に同時にかつ、高速にインストールできるようになりました。 ただし、この方法でインストールされる Windows はまっさらな状態です。 そのため、この後に MS-Office や、ユーティリティといった各種ソフトウェアを それぞれの PC でインストールする必要があります。

今回は、各種ソフトウェアをインストールした状態を、複数の PC に展開する方法を試してみました。 感覚的には、家電量販店などで購入できる PC のリカバリディスクのように、 様々なソフトウェアがインストールされたイメージディスクを作成すると思っていただければと思います。

エンジニア的には、開発機に各種開発環境を構築した状態でイメージを作成しておけば、 システムが不安定になった場合でも、サクッときれいな状態に戻せるのがメリットだと思います。

環境

手順

大まかに次の手順で進めていきます。

  1. Windows 7 のインストール
  2. ひな形の作成
  3. ハードウェアドライバ、ソフトウェアのインストールなど環境の構築
  4. システムの一般化
  5. コピー用イメージの作成
  6. コピー先 PC への展開

MS のこちらの記事を参考に進めました。ただし、こちらの記事ではイメージの作成に ImageX コマンドを使用しているのに対し、今回は Dism コマンドで作成してみました。

Windows 7 の標準イメージの作成: ステップバイステップ ガイド

Windows のインストール

いつもどおりに Windows をインストールします。

注意点としては、インストール時に作成するユーザアカウントは、コピーイメージの準備だけに使用します。 そのため、コピー先 PC への展開時には保持されないことに注意してください。

各種ソフトウェアのインストール

Windows のインストールが完了したら、各種ソフトウェアをインストールします。

今回は次のソフトウェアのインストールと環境設定を行いました。

システムの一般化

インストール後の Windows は、それぞれのハードウェア固有の情報を持っています。
これらの情報を削除して、他の PC に展開できるようにします。

クリーンアップ

Windows キー + R」で「ファイル名を指定して実行」を起動します。 以下のパスで、Sysprep(システム準備ツール)を起動します。

C:\Windows\System32\sysprep\sysprep.exe

Sysprep が起動したら、次の手順で監査モードに入ります。

  1. 「システム クリーンアップ アクション」 で 「システム監査モードに入る」を選択
  2. 「一般化する」にチェック
  3. 「シャットダウン オプション」で 「再起動」 を選択
  4. 「OK」を押下して、再起動

Sysprep が実施されます。

一時ユーザの削除

再起動後には、Administrator ユーザでログインされます。 次に、ソフトウェアのインストールで使用したローカルユーザ情報を削除しましょう。

  1. スタートメニューの「コンピュータ」を右クリックし、「管理」を選択
  2. 「コンピュータの管理」が起動します。「ローカルユーザーとグループ」の「ユーザ」で インストールに使用した「ユーザー」を右クリックし、「削除」を選択

一時ユーザの情報が削除されました。プロファイルも削除しておきましょう。

  1. スタートメニューの「コンピュータ」を右クリックし、「プロパティ」を選択
  2. 「システムの詳細設定」を選択
  3. 「ユーザープロファイル」の「設定」を選択
  4. 「不明なアカウント」を選択し、「削除」

これで一時ユーザのプロファイルが削除されました。

OOBE モード

Sysprep を起動して、OOBE モードに入ります。 OOBE モードに入ると、次回起動時に Windows の初期設定画面が表示されます。

Windows キー + R」で「ファイル名を指定して実行」を起動します。 以下のパスで、Sysprep(システム準備ツール)を起動します。

C:\Windows\System32\sysprep\sysprep.exe

Sysprep が起動したら、次の手順で OOBE モードに入ります。

  1. 「システム クリーンアップ アクション」 で 「システムの OOBE (Out-of-Box Experience) に入る」を選択
  2. 「一般化する」にチェック
  3. 「シャットダウン オプション」で 「シャットダウン」 を選択
  4. 「OK」を押下して、シャットダウン

これで環境に依存しない Windows が作成できました。

展開用イメージの作成

次に他の PC に展開するためのイメージを作成します。

Windows PE ディスクで Windows PE を起動します。

ネットワークストレージへ接続

今回は HDD からキャプチャしたイメージをネットワークストレージに保存するため、 ネットワークストレージに接続します。

X:\windows\system32>net use N: \\192.168.10.100\share /user:john *
\\192.168.10.100\share のパスワードを入力してください:
コマンドは正常に終了しました。

共有フォルダ(\\192.168.10.100\share)が N:\ にマウントされます。

/user:john は接続ユーザ名です。環境に合わせて変更してください。

キャプチャする HDD パーティションの確認

キャプチャするパーティションを確認します。

diskpart で確認するのがよいかと思います。

X:\windows\system32>diskpart

Microsoft DiskPart バージョン 10.0.14393.0

Copyright (C) 1999-2013 Microsoft Corporation.
コンピューター: MININT-XXXXXXX

DISKPART> list volume

  Volume ###  Ltr Label        Fs    Type        Size     Status     Info
  ----------  --- -----------  ----  ----------  -------  ---------  --------
  Volume 0     E   DVD_ROM      UDF    DVD-ROM      444 MB  正常
  Volume 1     C   システムで予約済み    NTFS   Partition    100 MB  正常
  Volume 2     D                NTFS   Partition    126 GB  正常

DISKPART> exit

DiskPart を終了しています...

X:\windows\system32>

D: にマウントされていることが確認できました。

パーティションのキャプチャ

パーティションを確認したら、イメージファイルへキャプチャします。

Dism /Capture-Image /ImageFile:n:\original-system.wim /CaptureDir:D:\ /Name:"Original System"

n:\original-system.wim にイメージファイルが作成されました。

カスタムインストールディスクの作成

Windowsインストーラは、インストールディスクの\sources\install.wimを HDD に展開することで インストールを実現しています。これを今回作成したイメージファイルに置き換えることで、 オリジナルのイメージディスクを作成します。

作業用 PC で、Windows 7 のインストールディスク内のフォルダ、ファイルを、ネットワークストレージにまるごとコピーします。 今回は、以下の共有フォルダにコピーしました。

\\192.168.10.100\share\original-7\

先ほど作成したイメージファイルoriginal-system.wimを、install.wimにリネームし、 sourcesにコピーします。

これでカスタムインストール用のデータが作成できました。

イメージの展開

カスタムインストール用のデータが準備できたので、実際に他の PC へ展開してみましょう。

展開方法は、こちらの記事を参照いただければと思います。

9bo.hateblo.jp

通常どおりにインストールを進めたのち、再起動をすると Windows の初期設定画面が表示されます。 こちらもそのまま進めていきましょう。

f:id:u9bo:20170205135849p:plain

インストール後には、イメージ作成時にインストールしたソフトウェアが、既に存在していることが確認できます。

f:id:u9bo:20170205140129p:plain

まとめ

今回は、各種ソフトウェアをインストール済の環境を他の PC へ展開することを目的に、 カスタムイメージディスクを作成しました。

ソフトウェアのインストール、Windows Update は、イメージ作成時の一度だけ行えばよいため、 キッティング台数が多い場合に、驚異的な威力を発揮します。

今後の予定として、キャプチャしたイメージのwimファイルには、直接 Windows Update の更新データを適用できるそうです。 こちらについて、取り組んでみようと思います。